観光業をはじめ、各業界で人手不足が指摘されているが、日本商工会議所が中小企業を対象に状況を調べたところ、半数以上の企業が「不足している」と回答。昨年調査と比べ約5ポイント上昇しており、人手不足感が強まっていることが分かった。業種別では宿泊・飲食業の割合が最も高く、約8割の企業が「不足している」とした。
「人手不足等への対応に関する調査」は全国の中小企業4072社を対象に4〜5月に実施。各地の商工会議所職員が訪問して聴いた。2405社から回答(回答率59.1%)があり、うち宿泊・飲食業は119社。
人員の過不足状況では、55.6%(昨年50.3%)の企業が「不足している」と回答。「過不足はない」が39.7%(同45.5%)、「過剰」は3.8%(同3.5%)だった。
「不足している」と答えた企業を業種別に見ると、宿泊・飲食業は79.8%に達し、不足感が最も高かった。このほか、介護・看護、運輸業、建設業でも6割を超えており、「人手不足の状況が高まっている」と日商はみる。
どういった人材を求めているかでは、「一定のキャリアを積んだミドル人材」が69%を占め、最も高かった。この傾向は全ての業種に当てはまる。宿泊・飲食業は73・7%の企業が挙げており、介護・看護(80.6%)、金融・保険・不動産業(77.3%)、建設業(75.3%)に次ぐ多さだった。
調査は65歳以降の雇用延長について聴いた。それによると、65歳超を雇用している企業は約7割に上った。一方、「既に65歳超を雇用しているが、義務化は反対」(30.1%)、「65歳までは雇用できるが、それ以上の対応は難しい」(27.1%)といった意見の合計は約6割となり、一律の雇用延長には慎重な対応が求められる結果となった。
その理由は「本人の体力的な面で難しい」「若い年齢層の採用の阻害になる」など。
宿泊・飲食業を営む栃木県の企業は人手不足を解消するため、「一定の条件のもとに、海外からの人材受け入れを容易にしてほしい」と政府の対応を求めた。なかには「求人募集に対して正社員はおろか、パートタイマーも集まらない」(愛知県の製造業)と苦戦している声も。